フリーランス美容師が保険料を安くするヒント

2022.02.24

「シェアサロンで働きたいけど、保険料が高くなるのが心配」「フリーランス美容師として働いているけど、今よりもっと保険料を安くできないかな」——結論から言うと、フリーランス美容師が入れる健康保険は国民健康保険だけではなく4種類あり、収入や扶養家族の有無によって最安の選択肢は変わります。本記事では、加入できる保険の種類と特徴を比較し、あなたがどの保険に加入すれば1番保険料を安くできるか、そのヒントを詳しく紹介します。

そもそも健康保険とは?

健康保険とは公的な医療保険制度のこと。日本では国民全員を公的な医療保険で補償することにより、安い医療費で高度な医療を受けられるしくみが整えられています。

健康保険にはいくつか種類があり、会社員とフリーランスでは加入する保険が異なります。会社員が加入するのは「社会保険」。退職してフリーランスになると自分で切替手続き(退職翌日から14日以内)をする必要があります。手続きの流れはフリーランス美容師がやるべき5つの手続きを参照してください。

フリーランス美容師が加入できる健康保険は4種類

フリーランス美容師が加入できる健康保険は、国民健康保険をはじめ全部で4種類あります。まずは一覧で比較しましょう。

種類 保険料の決まり方 扶養 向いている人
国民健康保険 前年の収入と住む市区町村で変動 なし(世帯全員が各自負担) 収入がまだ少ない人・経費計上で所得を抑えられる人
美容健康保険組合 収入に関係なく一律 条件を満たせば可 収入が高い・今後上がる見込みの人
任意継続 在職時の標準報酬月額ベース(会社負担分も自分で支払う) あり 扶養家族が多い人(最長2年)
家族の扶養に入る 自分の負担なし 年収130万円未満の見込みの人

※保険料率・保険料額や加入条件は年度ごとに改定されます。本記事の金額・条件は2026年7月時点の情報です。

国民健康保険

国民健康保険とは、市区町村で運営される公的な健康保険です。フリーランス美容師になったらまず検討するのが国民健康保険でしょう。

特徴は2つ。1つは市区町村ごとに保険料が異なること。2つ目は扶養の概念がないため世帯全員が各自保険料を支払う必要があることです。

メリットは、経費を計上して確定申告をすれば、会社員時代の社会保険より保険料が安くなる場合があること(経費にできるものは節税・経費一覧を参照)。注意点は、前年の収入で保険料が決まるため、収入が上がるほど保険料も高くなること。前年より今年の収入が低い場合は負担が重く感じられます。

美容健康保険組合

美容健康保険組合とは、理美容の仕事に携わる人が加入できる保険です。国民健康保険とは異なる種類の健康保険で、主に下記の3つがあります。

  • 全国の理美容師が対象の「全国理美容健康保険組合」
  • 東京に職場がある場合は「東京美容国民健康保険組合」
  • 大阪に職場がある場合は「大阪府整容国民健康保険組合」

ただし注意したいのは、この3つは性質が異なることです。全国理美容健康保険組合(全日本理美容健康保険組合)は事業所単位で加入する健康保険組合のため、個人のフリーランス美容師は原則として加入できません(2026年7月時点)。フリーランスが個人事業主として加入を検討しやすいのは、東京美容国民健康保険組合などの「国保組合」です。大阪府整容国民健康保険組合も大阪府内に職場がある方が対象ですが、加入区分や条件は組合へ直接確認しましょう。

特徴とメリットは、国民健康保険と違って保険料が一律であること。収入が上がっても保険料が変わらないため、売上が伸びるほど相対的にお得になります。加えて、一定の収入を下回る家族を扶養に入れることも可能です。

美容健康保険組合の加入条件チェックリスト(東京美容国保の例・2026年7月時点)

  • 東京都内の事業所(サロン・シェアサロンなどの職場)で美容の業務に従事している
  • 住まいが東京都(島しょ部を除く)・神奈川県・千葉県・埼玉県・茨城県・山梨県のいずれかにある
  • 世帯単位での加入になるため、家族も一緒に美容国保へ入るか、市区町村の国民健康保険に残るかを決めている
  • 最新年度の保険料を確認した(令和8年度は所得にかかわらず一律で、事業主区分は月額22,000円、40〜64歳は介護保険料を含めて月額26,000円、扶養家族は年齢に応じて1人あたり月額6,000〜14,000円。年度ごとに改定されます)

注意点は、収入や扶養状況によっては国民健康保険の方が安くなる場合があること。加入を検討したら、まずは自分や家族の国民健康保険の保険料を計算して比較しましょう。

任意継続

任意継続とは、前職の美容室の会社で加入していた社会保険を継続する方法です。退職日まで継続して2ヶ月以上会社の社会保険に加入していれば、退職後も2年間は引き継ぐことができます。

メリットは、扶養家族の保険料を負担しなくてもいいところ。国民健康保険では家族の分も保険料を負担しないといけません。注意点は、在職中より保険料の負担額が倍になること。今まで会社が払ってくれていた半額分も自分で払う必要があります。

健康保険の被扶養家族に入る

社会保険に加入している家族がいれば、扶養に入る方法も考えられます。メリットは、自分は保険料を負担することなく健康保険に加入できること。ただし扶養として認められるには、年収が130万円未満であることなどの条件があります。

まだフリーランス美容師として駆け出しで収入が見込めない場合や、扶養の範囲で働きたい事情がある場合は、扶養に入るのが有効でしょう。

結局どの健康保険が1番お得?

結論、あなたの収入や扶養家族の有無など状況次第でお得な健康保険は異なります。

例えば、国民健康保険の保険料が比較的高い地域に住んでいて、収入も年々上がりそうであれば美容健康保険組合に加入したほうが保険料を安く抑えられるかもしれません。まだ収入が少なかったり、子育てをしていて年収130万円未満になりそうなのであれば、社会保険に加入している両親や配偶者に相談して扶養に入れてもらうのもいいでしょう。

【年収・扶養の有無別】第一候補の早見表

「自分はどれから検討すればいいのか」を絞り込めるように、状況別の第一候補を早見表にまとめました。

あなたの状況 第一候補 理由
年収130万円未満の見込みで、社会保険に加入している家族がいる 家族の扶養 自分の保険料負担がゼロになるため
所得が低め(経費計上や青色申告特別控除で所得を抑えられる) 国民健康保険 所得に応じて保険料が下がるため、一律保険料の美容国保より安くなりやすい
所得が高い・今後も伸びる見込みで、職場と住まいが加入条件に合う 美容健康保険組合 保険料が一律のため、収入が増えても保険料が頭打ちになる
退職直後で扶養家族が多い 任意継続(最長2年) 扶養家族の保険料がかからず、家族の人数分を払う国民健康保険より安くなる場合があるため

※国民健康保険料は市区町村によって差が大きく、美容国保との損益分岐になる所得額も一律ではありません。早見表はあくまで検討の入口として、必ず次の手順でご自身の金額を試算してください。

保険料を計算して比較する5つの手順

  • ①前年の所得を確認する(確定申告書の控えや源泉徴収票を手元に。「収入−経費−各種控除」で計算される所得が保険料計算のベースになります)
  • ②市区町村の国民健康保険料を試算する(多くの自治体サイトに計算シートや自動計算ページがあり、役所の窓口でも試算してもらえます)
  • ③美容健康保険組合の一律保険料を組合公式サイトで確認する(本人分に加えて、扶養に入れる家族分の保険料も忘れずに合算します)
  • ④任意継続の保険料を退職前に加入中の健康保険組合等へ照会する(申請期限は原則、退職日の翌日から20日以内です)
  • ⑤年間総額で比較する(毎月の保険料×12ヶ月+家族分で比較。手取り全体への影響は手取りシミュレーションで確認できます)

シェアサロンに移るとき、保険はどう切り替わる?【当社の場合】

一般的に、シェアサロンは雇用契約ではないため、移籍しても会社員時代の社会保険にそのまま入り続けることはできず、上記4つの選択肢から自分で選んで切り替えることになります。当社GO TODAY SHAiRE SALONのクルー(利用者)もフリーランス(個人事業主)として働くため、健康保険は一人ひとりが収入や家族構成に合わせて選んでいます。

当社の独自調査では、フリーランスになる前後の不安は「集客・予約の安定」「売上や収入」「確定申告・税金まわり」「困った時に相談できる相手の少なさ」に集中する傾向があります(当社調べ)。保険の切り替えも、この「税金・お金まわり」とセットでつまずきやすいポイントです。実際に当社で働くHARUNAさんも「フリーランスは確定申告、体調管理、ブランディングをしっかりしていくことが大事」と語っています(GO TODAY SHAiRE SALON公式インタビューより)。

保険料や税金を含めた独立後のお金の全体像は収入シミュレーションで売上から試算でき、切り替えや納付のスケジュール感は確定申告・税金の年間スケジュールが参考になります。オンライン相談や見学(説明込みで1時間程度・持ち物不要。2026年7月時点)では、独立までの準備の進め方について気になることを質問できます。

よくある質問

フリーランス美容師はどの健康保険に入ればいいですか?

選択肢は国民健康保険・美容健康保険組合・任意継続・家族の扶養の4つです。収入が少ないうちは国民健康保険か扶養、収入が高くなるほど保険料一律の美容健康保険組合が有利になる傾向があります。必ず自分の収入で保険料を計算して比較しましょう。

美容健康保険組合には誰でも入れますか?

いいえ、職場の所在地や住まいの都県などの加入条件があります。例えば東京美容国民健康保険組合は、東京都内の事業所で美容の業務に従事し、東京都(島しょ部を除く)または近隣5県に住んでいることが条件です(2026年7月時点)。また、事業所単位で加入する健康保険組合(全日本理美容健康保険組合など)には、個人のフリーランスは原則加入できません。詳細は各組合へ確認しましょう。

国民健康保険料を安くする方法はありますか?

国民健康保険料は前年の所得で決まるため、経費を漏れなく計上し青色申告特別控除を使って課税所得を抑えることが、結果的に保険料を安くすることにつながります。詳しくは確定申告の基本と節税をご覧ください。

任意継続はいつまで使えますか?

退職後最長2年間です。退職日まで継続して2ヶ月以上社会保険に加入していたことが条件で、手続きには期限があるため退職前に加入先の健康保険組合などへ確認しておきましょう。

まとめ

ここまで、フリーランス美容師が加入できる保険の種類と、それぞれの特徴やメリット・注意点をお伝えしました。「どの健康保険が1番安いのか」はあなたの置かれた状況によって全く異なりますので、まずは保険料を計算してみることをおすすめします。具体的には、本記事の早見表で第一候補を1〜2つに絞り、「保険料を計算して比較する5つの手順」に沿って年間総額を試算するのが近道です。保険料や加入条件は年度ごとに改定されるため、最終判断の前には各組合・市区町村の最新情報を確認し、税金との兼ね合いは税理士や税務署にも相談してみてください。なんとなく国民健康保険に加入していた人も、これからフリーランス美容師への転身を考えている方も、このタイミングで自分の払っている保険料について考えてみませんか。フリーランスになる手順全体は独立・開業までの5ステップガイドで確認できます。

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