フリーランスとして独立するには?美容師の独立開業との違い・向き不向きと独立前後にやること

2022.04.15

「独立したいけど、どんな選択肢があるか分からない」「フリーランスと開業はどう違うの」そんな疑問を抱いていませんか?結論から言うと、独立開業とフリーランスはどちらも個人事業主としての法的地位に違いはなく、最大の違いは『自分の店舗を持つかどうか』とリスクの大きさです。本記事では、美容師・アイリスト・ネイリストなど美容の仕事でフリーランスとして独立を考えている方に向けて、独立開業との共通点と相違点、メリット・デメリット、どんな人に向いているか、そしてフリーランスとして独立する前と後にやることを解説します。

美容師の独立、増えています。

独立と考えると膨大な初期費用を用意して店舗を構える印象がある方は多いのではないでしょうか。今や美容室はコンビニよりも店舗数が多く、年々増加傾向にあります。美容室の数が増えるほど場所やお客様の取り合いは激しさを増し、長期間経営できない美容室も多いのが現状。そんな中、リスクを抑えて独立できるフリーランスという考え方が美容師にも広まり、フリーランスとして活躍する美容師が多くなってきました(背景の詳細はなぜフリーランス美容師が増えているのか)。

どうして美容師は独立する人が多いの?

雇われている状態では時間が少なく自分のやりたいことが実現できなかったり、会社の方針に従って業務をする必要があります。そういったしがらみから解放される手段が独立です。主な要因は次の3つです。

  • 働き方事情:美容師は常に人と接する職業のため、上下関係や人間関係に悩むことも。独立で無理な人間関係から自由になりたいと考える方がいます。
  • お金事情:厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和6年)では理容師・美容師の平均年収は約372万円と、全産業平均と比べて低めです(2026年8月時点の最新公表値)。また長時間勤務になりやすい一方で、努力が給与に反映されにくいと感じて独立を目指す方が多くいます。
  • 自由度事情:勤務時間が長く拘束時間と収入が釣り合わないと感じたり、練習などで自由な時間が取りにくいことから、自由な時間を増やすために独立する方もいます。

独立開業とフリーランス、共通点と相違点は?

<共通点>どちらも個人事業主として法的地位に違いなし

面貸しやフリーランスと聞くと開業とは別で考える方もいますが、開業もフリーランスも個人事業主として開業するという点で法的地位に違いはありません。どちらも税務署に開業届を提出して営業し、毎年の確定申告が必要です(手続きはやるべき5つの手続き)。

<相違点>違いは自分自身の店を持つかどうかにあり!

大きな違いは自分が店舗を持つか持たないか、すなわちリスクの大きさです。自分の店舗を持つ開業は売上からシェアサロンや面貸しサロンへの利用料を支払う必要がないため、うまくいけば利益をそのまま収入にできます。ただし開業費用は一般に1,000万〜1,200万円程度必要なため、ハイリスク・ハイリターンといえます(内訳は開業資金の記事)。一方フリーランスは売上の一定割合や利用料をサロンに支払いますが、初期費用がほとんどかからないためリスクを抑えて独立できます。

開業とフリーランスそれぞれのメリットデメリット

メリット デメリット
開業 レイアウト・メニュー・営業時間・薬剤まですべて自分で決められる。スタッフを増やせば収入の上限なく伸ばせる リスクをすべて自分が背負う。資金調達もスタッフの穴埋めも自分。サロンワークと同時に経営も行う必要がある
フリーランス 初期費用がほとんどかからず低リスク。基本給なしの歩合で、業務委託は売上の40〜60%、面貸し・シェアサロンは50〜90%が報酬の目安(一般的な相場)で、働いた分が報酬につながる 仕事(集客)がないと報酬もなく収入が不安定に。怪我や病気で働けない場合も報酬が減るため、保険などの備えが必要

開業のよさは美容師として最も自由になれるところ。店舗の場所から一緒に働くスタッフまですべて自分で決められ、スタッフにある程度顧客がいれば店舗を任せて経営に専念することもできます。

フリーランスのよさは開業と比べてリスクを軽減できるところ。負債を背負って開業するのに不安を覚える美容師は少なくありません。シェアサロンや面貸しの場合、店舗の利用料金や売上の一定割合の支払いのみで営業を開始できます(手元に残る金額は手取りシミュレーション)。

フリーランス美容師のためのシェアサロンも急増中。最近ではSNSで個人集客がしやすくなり、人気の美容室を探して予約する形態から、美容師個人を探して予約する形態へと変わりました。ワークライフバランスを重視する人も増えているので、今後もシェアサロンで働くフリーランス美容師は増加するでしょう(仕組みはシェアサロンとは?)。

フリーランス?開業?自分はどっちに向いている?

フリーランスはこんな人に向いている

独立したいけどなるべくリスクを抑えたい方はフリーランスがおすすめ。業務委託も面貸しもシェアサロンも初期費用を抑えて独立できます。またSNSやブログなどでの発信が集客の中心になるので、様々な集客方法を試せるバイタリティのある方に向いています(働き方の選び方はフリーランス美容師の働き方3種類)。

開業はこんな人に向いている

開業はある程度顧客がいて売上が安定している人におすすめです。家賃などの固定費やスタッフの賃金など、売上が安定していないと支払いが滞ってしまう可能性があります。サロンワークだけでなく経営の業務も行うので、美容師だけでなく経営にも興味がある人に向いています(収益性の比較は独立すれば儲かる?)。

どちらも自分の力が試される働き方!

開業もフリーランスも今後はより数が増え、競争が激化していくでしょう。その中で独立のメリット・デメリットを理解し、いかに工夫をして勝ち残っていくかが大切です。独立すると自ら調べないと新しい知識がなかなか入ってこないので、常にアンテナを張って新しい情報をキャッチできるようにしましょう。

フリーランスとして独立する前と後にやること

フリーランスとして独立すると決めたら、勤務先にいるうちに済ませたいことと、独立してすぐにやることがあります。順番を間違えると、お客様が離れたり手続きが遅れたりしやすいので、次の流れで進めると安心です。

独立する前(勤務中)にやること

  • 独立後も来てくれそうなお客様の見込みを数える:指名のお客様の人数と来店の間隔から、独立直後の1か月にどれくらいの売上が立ちそうかを見積もります。フリーランスは基本給が無いため、この見込みが独立のタイミングを決める一番の材料になります。
  • 数か月分の生活費と運転資金を用意する:独立直後は集客が安定するまで売上が読めません。生活費に加えて、材料費やサロンの利用料など先に出ていくお金の分も手元に残しておきます。
  • 働く場所を比べて見学する:業務委託・面貸し・シェアサロンは、報酬の決まり方(売上の何割が手元に残るか)、材料を自分で用意するか、美容所登録があるか、予約や集客の仕組みが違います。条件を並べて比べ、実際に店舗を見学してから決めましょう(違いは業務委託サロンとシェアサロンの違い)。
  • 退職とお客様への案内の段取りを確認する:勤務先の就業規則や退職時の取り決めによっては、在籍中にお客様へ独立を案内することが問題になる場合があります。退職日と案内の時期は、取り決めを確認してから決めるとトラブルを避けられます。
  • 会社員のうちに済ませたい審査を済ませる:クレジットカードの作成や住まいの契約などは、独立直後だと収入を証明しにくく、審査に時間がかかることがあります。

独立した後すぐにやること

  • 保険・年金の切り替えと開業届・青色申告の申請:どれも期限がある手続きです。期限と進め方はフリーランス美容師がやるべき5つの手続きにまとめています。
  • 仕事のお金と生活のお金を分ける:事業用の口座やカードを分けておくと、材料費や利用料などの経費を整理しやすく、確定申告が楽になります(確定申告の基本と節税)。
  • 予約と集客の窓口を整える:SNSのプロフィールや予約の受け方を独立後の働く場所に合わせて更新し、お客様が迷わず予約できるようにします。
  • インボイス登録が必要かを確認する:一般のお客様から直接お支払いを受ける働き方か、サロンに報酬を請求する働き方かで判断が変わります(インボイス制度とフリーランス美容師)。

よくある質問

独立開業とフリーランスの一番の違いは何ですか?

自分の店舗を持つかどうか、すなわちリスクの大きさです。法的にはどちらも個人事業主で、開業届の提出や確定申告などの手続きに大きな違いはありません。

フリーランスの報酬はどのくらいですか?

一般的な目安では、業務委託が売上の40〜60%、面貸し・シェアサロンが利用料を引いた50〜90%です。基本給はなく歩合で報酬が決まるため、働いた分がそのまま報酬につながります。

フリーランスとして独立するタイミングはいつがいいですか?

独立後も通ってくれそうなお客様の見込みと、数か月分の生活費の備えが両方そろったときが目安です。どちらかが足りないまま独立すると、集客が安定するまでの間に資金が尽きやすくなります。働く場所の見学や条件の比較は、勤務中から進めておきましょう。

まずどちらから始めるのがいいですか?

顧客基盤と資金に不安があるなら、まずフリーランスとして低リスクに独立し、指名客と資金を固めてから店舗開業に進む道が現実的です。独立の手順は独立・開業までの5ステップガイドで確認できます。

まとめ

店舗を持つハイリスク・ハイリターンの開業と、リスクを抑えて独立が可能なフリーランス。美容業界全体にも多様な働き方が浸透しつつあり、今後も美容師の独立は増えていくでしょう。現状に満足していなかったり将来に不安を抱いている方は、独立という新たな一歩を検討してみてはいかがでしょうか。フリーランスという働き方の全体像はフリーランス美容師とは?をご覧ください。

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