2022.04.19
ネイリストの給料は、〈1回あたりの単価〉×〈1日に入る件数〉×〈月に働く日数〉で決まります。雇用ならこの売上に歩合や手当が連動し、独立ならこの掛け算がそのまま自分の売上になります。当社のシェアサロンでネイルの施術をしている人の記録では、1回あたりの支払額は平均8,711円、施術のあった日の件数は平均2.4件でした(当社調べ)。この記事では雇用の給料の組み立て方を整理したうえで、3つの要素それぞれの実測値と、月商ごとの内訳を示します。自分の稼働日数を当てはめれば、いまの給料も、独立したときの見通しも計算できます。
INDEX
結論:給料は単価・件数・稼働日数の3つで決まる
先に全体像を置きます。雇用で働く場合も、フリーランスで働く場合も、収入のもとになるのは自分が作った売上です。売上は次の3つに分解できます。
- 単価=1回の施術でお客様が払う金額。メニュー構成とデザインの提案で変わります。
- 件数=施術のあった1日に何人を担当するか。予約がどれだけ埋まるかで決まります。
- 稼働日数=月に何日働くか。雇用ならシフト、フリーランスなら自分の設定です。
雇用でも歩合の比重が大きいほど、収入はこの3つに連動します。基本給だけを比べても、実際に受け取る額の差は説明できません。以下では、当社のシェアサロンで実際に行われたネイル施術の記録から、3つの実測値を示します(雇用の給料そのものではなく、売上のもとになる数字です)。
雇用の給料はどう組み立てられているか(基本給・歩合・手当・賞与)
サロンに雇用されて働く場合、給料の形は大きく2つです。「基本給+歩合給」型と「完全歩合制」型で、どちらも担当するお客様が増えるほど手取りが増えます。歩合に加えて、指名でつく指名手当、物販の店販手当、保有資格に応じた資格手当を設けているサロンもあります。
賞与については、美容業界では支給のあるサロンが多くはなく、あっても寸志程度にとどまることがあります。店全体ではなく個人の売上で成績が動く業態だからです。賞与を重視するなら、求人の段階で支給実績が明記されているかを確認するのが確実です。
求人票を読むときは、基本給・歩合の条件・手当の3点をそろえて見てください。歩合の条件が同じでも、指名手当や店販手当があるかどうかで、同じ売上に対する受け取り額が変わります。
〈単価〉ネイルの1回あたりの支払額は平均8,711円(当社の独自調査)
当社のシェアサロンでネイルの施術をしている人の記録では、1回あたりお客様が払った金額は平均8,711円でした。
| ネイルの実測(当社調べ) | 値 |
| 1回あたりの支払額(平均) | 8,711円 |
| 同じ担当者への再来の間隔(平均) | 33.4日 |
出典:当社調べ。当社のシェアサロンでのネイル施術の記録より。
再来の間隔が平均33.4日ということは、通ってくれるお客様は1か月に1回前後のペースで戻ってくるということです。1人のお客様が1年通えば10回前後の来店になります。つまりネイルは「単価を上げる」よりも「毎月来てくれる人を何人抱えるか」が収入に効きやすい働き方です。単価は提案するメニューで少しずつ動かせますが、月に何人を安定して迎えられるかのほうが、月の売上を大きく動かします。
〈件数〉施術のあった日の件数は平均2.4件(当社の独自調査)
1日に何人を担当できるかは、営業時間の長さよりも予約の埋まり方で決まります。当社のシェアサロンでネイルの施術があった日を集計すると、次のようになりました。
| 施術のあった日(ネイル) | 当社の実測 |
| 1日の施術件数(平均) | 2.4件 |
| 1件だけで終わる日の割合 | 30.1% |
| 5件以上入る日の割合 | 5.4% |
出典:当社調べ。施術が1件以上あった日を対象に集計(休んだ日は含みません)。
1件だけで終わる日が30.1%を占めます。3日に1日近くは、その日に入った予約が1人だけだった日です。短い時間だけ受け付けた日も含まれますが、いずれにしても件数を決めているのは施術のスピードではなく、受け付けられた予約の数です。技術を速くしても、予約が入っていない時間は件数になりません。先に手を打つべきなのは集客とリピートのほうです。
〈稼働日数〉月商ごとに、3つの数字はこう変わる(当社の独自調査)
では売上の大きい人は何が違うのか。当社のシェアサロンでネイルの施術をしている人を、月ごとの売上規模で分けて集計すると、次のように並びました。
| 月商の規模 | 1日あたり件数(平均) | 月の稼働日数(平均) | 客単価(平均) |
| 20万円未満 | 1.6件 | 9.7日 | 約7,500円 |
| 20〜40万円 | 2.2件 | 18.6日 | 約8,200円 |
| 40〜60万円 | 2.7件 | 20.9日 | 約9,200円 |
| 60〜80万円 | 3.3件 | 22.3日 | 約9,800円 |
| 80万円以上 | 3.6件 | 24.0日 | 約11,300円 |
出典:当社調べ。当社のシェアサロンでのネイル施術の記録を、担当者ごとに月単位で集計。売上はサロンの利用料を差し引く前の金額です。
3要素のどれか1つが飛び抜けているのではなく、3つが同時に上がっています。件数だけ増やしても、単価だけ上げても、月商の段は変わりにくいということです。自分の見積もりに使うときは、自分が目指す月商の行を見て、いまの自分と何が違うかを確かめてください。たとえば月40万円台をねらうなら、1日2.7件・月21日前後・単価9,200円前後がひとつの目安になります。
なお、この表は月ごとの横断比較で、同じ人がこの順に進むという意味ではありません。伸ばす順番は選べます。ネイルの場合は前の節で見たとおり件数に余地が大きいので、まず稼働日の予約を埋め、そのうえでメニューの見直しで単価に手をつける順序が現実的です。
リピートで決まる:2回目につながるかが件数を左右する(当社の独自調査)
件数を安定させる鍵はリピートです。当社のシェアサロンでネイルの施術をしている人の記録では、同じ担当者に2回以上来店したお客様の割合は48.8%でした(当社調べ)。
約半数が2回目につながっている一方で、残りの半数は1回で終わっています。単価8,711円・間隔1か月前後という条件は、リピートしてもらえれば1人のお客様が年間に何度も戻ってくる形です。逆にリピートが取れないと、毎月ゼロから新規を集め続けることになり、これが「1日1件で終わる日」の背景になります。
指名が積み上がったときに何が起きるかは、当社の公開インタビューでも語られています。アイリストの事例ですが、MANAさんのインタビューでは「指名が増えると売上が上がり、仕事が楽しくなるというポジティブなサイクルに入ることができた」と振り返られています。件数は技術のスピードではなく、戻ってきてくれる人の数で決まる——数字と証言はここで一致します。
集客とリピートの具体的な進め方はネイリスト・アイリストのSNS集客と客単価とリピート率を上げる方法にまとめています。
雇用のまま給料を上げる3つの手
- 指名を増やす:最も効率のよい方法です。新規のお客様をリピーター、さらに指名客に育てると、指名手当と売上連動の歩合が両方伸びます。上のデータのとおり、伸ばす余地が大きいのは施術スピードよりこちらです。
- 技術・資格を増やす:資格手当が付くサロンもあります。トレンドの技術は提案できるメニューを増やし、単価にも効きます。
- 役職を目指す:店長などになると給与水準が上がるサロンがあります。スタッフ教育や店舗運営の経験は、のちの独立でも活きます。
認定講師という道
ネイルに国家資格はありませんが、協会の認定資格があります。たとえばJNA認定講師は、毎年実施される認定講師試験に合格することで得られます。取得すると検定試験の試験官やコンテストの審査員、セミナー講師などをサロンワークと並行して担えるため、収入の柱を増やせます。ただし合格率は20〜30%程度とされる難関で、受験条件も細かく、取得までに時間と費用がかかります。
フリーランスになると、お金の流れはどこが変わるのか
指名のお客様がついているなら、フリーランスとして働く選択肢があります。変わるのはお金の流れの順番です。雇用では売上がサロンに入り、そこから給与を受け取ります。フリーランスでは売上がまず自分の売上になり、そこからサロンの利用料や材料費などの経費を差し引いた残りが自分の収入になります。
差し引く額は、店舗やプランによって組み立てが違います。月額を低くすると売上に応じた割合が上がる、月額を上げると割合が下がる、使える時間に上限がある——といった形があり、どれが得かは自分の見込み月商によって入れ替わります。金額を並べて比べるのではなく、自分の月商を当てはめて計算するのが正しい順序です。考え方は面貸し・シェアサロンの料金相場で、損益分岐点の出し方まで解説しています。
また、フリーランスでは確定申告や保険の手続きが自分の仕事になります。ネイリストの場合、ネイルのみの営業は美容師法の対象外なので、美容師免許や美容所の届出は要件になりませんが、税務署への開業届は自分で提出します。手続きの全体像は面貸し・シェアサロンの登録の流れとフリーランス美容師になるには?で確認できます。転身の良い面と大変な面はネイリストがフリーランスになるメリットとデメリットにまとめました。
ネイリストが使えるシェアサロン
GO TODAY SHAiRE SALONは、美容師だけでなくネイリスト・アイリストも利用できる全国展開のシェアサロンです。ネイルデスクのある店舗を選べば、自分の価格とペースで働けます。まずはネイル・アイラッシュのシェアサロンの選び方で見るべき点を押さえ、店舗一覧から通える範囲を探してみてください。
よくある質問
ネイリストの給料はどうやって決まりますか?
雇用でもフリーランスでも、もとになるのは自分が作った売上で、それは〈1回あたりの単価〉×〈1日の件数〉×〈月の稼働日数〉に分解できます。当社のシェアサロンでのネイル施術の記録では、1回あたりの支払額は平均8,711円、施術のあった日の件数は平均2.4件でした(当社調べ)。この3つに自分の値を入れて計算すると、いまの給料も独立後の見通しも見積もれます。
ネイリストは1日に何人施術できますか?
当社の実測では、施術のあった日の件数は平均2.4件で、1件だけで終わる日が30.1%ありました。5件以上入る日は5.4%です(当社調べ)。件数を決めているのは施術の速さではなく予約の埋まり方なので、件数を増やしたいときは集客とリピートから手を付けるのが順序です。
月商40万円をねらうには何をどれだけやればいいですか?
当社の実測では、月商40〜60万円の層は1日あたり2.7件・月の稼働日数20.9日・客単価約9,200円でした(当社調べ)。3つが同時に上がっているため、どれか1つを伸ばすのではなく、予約を埋めて稼働日を増やし、あわせてメニューで単価を動かす形になります。自分がねらう月商の行と、いまの自分の3つの数字を並べてみてください。
ネイリストの収入を一番上げられる方法は?
雇用のままなら指名客を増やすことです。当社のデータでは、月商の大きい人は1日の件数・稼働日数・客単価の3つが同時に高くなっていました。ネイルは1日の件数に余地が大きいので、まず予約を埋めることが効きます。指名客が十分にいる場合は、フリーランスとして働くことで売上から経費を引いた残りが自分の収入になる形に変えられます。
ネイルのお客様はどれくらいの頻度で来ますか?
当社の記録では、同じ担当者への再来の間隔は平均33.4日でした。また同じ担当者に2回以上来店したお客様の割合は48.8%です(当社調べ)。1か月に1回前後のサイクルなので、リピートが積み上がると件数が安定します。
ネイリストに国家資格は必要ですか?
ネイルに国家資格はなく、美容師免許も要件ではありません。ネイルのみの営業は美容師法の対象外のため、美容所の届出も必要ありません。一方でJNAなど協会の検定・認定資格は、採用や手当、お客様からの信頼につながるため取得する人が多くいます。
賞与や手当はありますか?
賞与は支給のあるサロンが多くはなく、あっても寸志程度にとどまることがあります。手当は指名手当・店販手当・資格手当などが一般的です。求人を見るときは基本給だけでなく、歩合の条件と手当の内容まで確認してください。
まとめ
- ネイリストの収入は単価×1日の件数×稼働日数で決まる。この3つに自分の値を入れて計算する。
- 当社の実測では、ネイルの1回あたり支払額は平均8,711円・再来の間隔は平均33.4日(当社調べ)。通ってくれるお客様は1か月に1回前後のペースで戻ってくる。
- 施術のあった日の件数は平均2.4件で、1件だけの日が30.1%。件数を決めるのは施術の速さではなく予約の埋まり方。
- 月商の大きい人は件数・稼働日数・単価の3つが同時に高い。月商40〜60万円の層は1日2.7件・月20.9日・単価約9,200円。
- 同じ担当者へのリピートは48.8%。半数は1回で終わっているので、リピート設計が件数の安定に直結する。
- フリーランスでは売上から経費を引いた残りが自分の収入になる。差し引く条件は店舗・プランで違うので、自分の月商で計算する。
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